5月の心地よい風が頬にあたる。清々しい気分に心躍る。筈だった。
巷はGW連休で岬の町に住む我が家の周りの道は行楽の車で賑わう。先日ガン宣告(予定)を受けた僕には、これまで何十年も眺めた当たり前の風景がもはや過去の光景に変化して色褪せた感じに映る。些か感傷的だが実際そうなのだ、景色が薄く見えるのだ。
5月2日の診察以来頭の中はガン一色。いつまで生きれるのか?とか治るのか?とか治療費は月額幾らなのか?とか会社はいつまで休めるのか?とか、、。これはカオスである、ついでに言えばインターネットの癌サイトにてバイアス掛かりまくりで情報集めて結局自分がどおいう状態かも把握出来ず。夜もロクに寝る事も出来ず、ここ3日の睡眠時間は?ゼロだ。
こうしたカオスの中、かろうじて自我を保てているのは3男の存在である。50過ぎに恵まれた3男は現在3歳、ベッドの隣で小さな背中が寝息にあわせて小さく動く、手を当てると温もりを感じる。そうなのだ、僕はまだ死ねないのだ、死にたくないのだ。ガンのステージとか余命とか死の受容過程とか、そんなもん全く関係無いのだ。3男のランドセル姿を見たいんだ、そう思うと心が少し落ち着いた。
明日は精密検査である。
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